「透析アドバイザー(AIソフト)を活用した透析中の血圧・除水管理」について発表しました。
AIソフトを活用した透析中管理
岡垣腎クリニック
村山 憲一 立川 裕
透析治療においては、安定した血行動態を維持したうえで、十分な除水を行い、治療を終了することが最重要である。そのためには、血圧・脈拍等の変動に応じて透析条件の変更や処置を必要とするが、その際、多くの選択肢から最適解を選びだすことが求められる。しかしながら、この対応は個人の経験や知識、性格などに依存するため、同一施設内でも、スタッフ全員が望まれる一定のレベルを保持しているとは言い難く、結果にムラが生じているのが現状である。対応のいかんによっては、患者の安全性をも左右するため、誰しも悩むところであり、透析中管理の標準化(一定の水準に達した診療)が急務である。
透析中管理の標準化を目的に、除水方法として自動除水(Blood Volume Ultra filtration Control、以下、BV-UFC)を使用した。さらに、除水管理や処置を提案するAIソフトウェア(以下、透析アドバイザー)を開発・試用し、これらの有用性を検討した。
日機装社製コンソールに装備されたBV-UFCは、ブラッドボリューム(BV)計で測定した⊿BV(循環血液量変化率)、目標除水量・残除水量、透析時間から除水速度を算出し制御する機能である。BV-UFCを用いることで、従来に比べて透析中の緊急補液回数が減少した。
透析アドバイザーは、過去実績から総除水量を予測し透析治療を開始するが、透析中のアクシデントを回避するために、除水量の修正、測定血圧値の正確さの検証、血圧測定間隔の変更、ドライウエイトの再検討等、多岐にわたる項目をAIが提案する。透析アドバイザーに従った対応・処置を行うことで、スタッフ全員が、その力量の多寡に依存することなく、一定のレベルに到達した透析業務を遂行することが可能であった。
BV-UFCおよび透析アドバイザーを活用することで、透析中管理の標準化がなされ、安定した質の高い治療や安全性の向上が得られるのみならず、スタッフの業務軽減にも寄与するものと思われた。